東京高等裁判所 昭和28年(う)1506号 判決
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「弁護人所論によれば、被告人の経営する会社は、米軍第八軍司令部調達本部が特に被告人会社のエレベーター技術を信頼し、調達局にエレベーターの修理は総べて被告人会社に専属せしむべく特命を以てしたのであるから、他の業者との競争入札の方法はなく、従つて贈収賄の因をなす処の「特調から仕事を貰う」ための贈賄等はその必要なく従つて特に契約関係人の原審相被告人甲、乙、丙の如きは全く贈収賄の対照たる適格性はないと主張し、又B弁護人所論によれば、被告人の経営する会社は連合軍最高司令部発日本政府宛覚書六三五三A号によつて在日兵站部管下のエレベーターの調査、修理、新設、技術員の養成等に関し、軍の代行機関として日本に唯一の存在を許された事業体であり、特殊の権限を委嘱されたものであつて、エレベーターの調達命令に関する限り、特別調達局と被告人会社との関係は、他の業者との関係の如く業者の選定入札その他に関し何らの権限を行使することができず単に契約書を作成する形式的事務処理をするに過ぎない、況や契約の内容を制限したりその条項変更等をすることはできないのであつて、本件には全く刑法第一九八条の職務関係は存在しない旨主張するのであるが、被告人の経営するY会社が、進駐軍の指定業者として東京特別調達局との契約により終戦処理費を以つてする東京都以外の連合軍用施設のエレベーターの検査及び修理等をすることを主な業務としているものであることは、原判決説示のとおりであり、従つて右業務に関して他に競争の業者がなかつたこと各所論のとおりであつたとしても、原判示各所掲の各東京特別調達局職員の職務の性質上、各当該職員の好意ある取扱の如何は、被告人会社の業績に影響を与えることあるは、洵に明らかであるから、被告人会社の他の競争の業者がないからといつて前記各職員の職務につき贈収賄の適格性がないとか又は刑法第一九八条に規定する職務関係が存在しないものと解することを得ず、各所論は畢竟独自の見解でしかなく、到底採用し難い。